部活動を楽しみにされているお子さんは、多いのではないでしょうか?
しかしその部活動が、大きく変わろうとしています。公立中学校の部活動を、地域へ移行しようという動きです。
なぜ部活動を地域移行をするのでしょうか?まとめてみました。
部活動の地域移行とは
これまで中学校・高校の教員が担ってきた部活動の指導を、地域のクラブ団体や関連事業者などに委ねる取り組みのことです。
スポーツ庁と文化庁が令和4年12月に策定したガイドラインに基づき、まずは令和5年度から3年間かけて「公立中学校」の「休日」の「運動部」の部活動を優先して、段階的に地域移行が進められています。
私学や高校、文化系の部活動などは、学校や地域の実情に応じて進めるように、というのが国の方針です。
なぜ地域移行?
ではなぜ、地域移行なのでしょうか?要因は、大きく二つあります。
教員の負担
これまで学校の部活動は、学校教育の一環として、教員がほぼ無償で担ってきました。
しかし、近年は教員の多忙化が大きな社会問題となっています。
特に中学校では、本来は休日であるはずの土日に教員が部活動の指導をしていることが、長時間勤務の大きな要因の1つとなっています。
2016年度に文部科学省が発表した教員勤務実態調査によると、月80時間を超える残業をした中学校教員が約6割に上り、過労死ラインにあることが明らかになりました。
数年前の調査時に比べ多少の減少はみられるものの、部活動顧問としての指導責任が過重労働を招いている一因であり、改善が求められています。
https://www.mext.go.jp/content/20230428-mxt_zaimu01-000029160_2.pdf
少子化
少子化に伴ってバレーボール、サッカー、軟式野球など、団体競技のチーム編成が難しい学校も出てきています。
今後も生徒の数が減り続けることは間違いなく、これまでのような部活動の維持が難しくなると考えられています。

地域移行のメリット
地域移行によって、生徒と学校・教員の双方にメリットが期待されています。
生徒
自分が通う学校だけでは人数が足りずにできなかった活動種目も、地域で複数校の生徒が集まれば可能になる場合があります。
また、プロの指導が入ることによる子どもの技術向上も期待できます。
現在の学校の部活動は、専門のスキルを持たなかったり、競技経験もない教員が指導しているケースが多くあります。
それに対して、地域ではスポーツクラブに所属する指導者や、公募によって選ばれた専門家から指導を受けられる可能性が広がります。
さらに地域移行がうまく進み、中学生や高校生だけではなく、子どもから大人までを対象とする地域のクラブに育っていけば、学校段階が上がるときに種目やチームを変えなくてすむようになります。
学校・教員
勤務時間の短縮や、業務負荷の軽減につながります。
顧問になった教員は、週末も指導のために出勤をしており、大会などがある月はほとんど休めていないのが現状です。
しかし移行が進めば、連休が取れ精神的負担が減るという意見が出ています。労働環境が改善されれば、教員を志す人も増えるのではないでしょうか?
そして部活動の指導をしていた時間を、本来の学校教育に充てることが出来ます。
地域移行のデメリットと課題
地域移行には、デメリットや課題も多くあります。
一つ目は、地域の受け皿の問題です。
移行した地域に適切な指導者がいないといったケースも出てきます。
学校の部活動にあるのと同じ種目を指導できる人材を確保できるとは限らず、設置可能な種目が限られます。また、指導者や練習施設が遠方にしかない、といった問題が発生しやすくなります。
特に地方では、外部指導者の確保が難しい状況もあります。
特に山間地域や離島では外部人材が不足し、地域移行を希望しても指導者を見つけられない自治体が多いのが現状です。
それ以外にも保護者の負担増等があります。
これまでは学校内の人材や設備を使っていたのが、外部の指導者や設備を使うことで費用が発生します。また、活動場所への送迎にも負担がかかります。

まとめ
中学校の部活動を取り巻く問題は、数十年前から言われています。
しかし、実際に問題に対して動きをみせ、上手くいっている所はまだまだ少ないのが現状のようです。
既に地域移行などを進めていたり、具体的に方針を決定している各都道府県の実例をまとめたページもありますので、こちらもぜひご覧ください。
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